前途多難な日本の大学海外進出

日本の筑波大学など3学校が、マレーシアに分校を作る計画があるらしい。11月に入り、マレーシアのマスズリ・マリク教育相の発言を伝える形で一斉に報道された。実現すれば、特に大学の海外進出は初めてとなる。が、そうすんなり行くものでもないようだ。

これまでのところ日本の各大学・学校からは特段の発表はない。報道は、NNAを除きすべてがマレーシアの国内メディア発で、マハティール首相に同行していた教育相の日本滞在中だった11月7日のこと。3校の1つとされる日本デザイナー学院(東京)のウェブサイトにはこの日、教育相が来校したことを知らせているが、マレーシア分校の話は出ていない。もう1つの筑波大学も、11月5日に、東京キャンパスを訪れたマハティール首相に名誉博士号を授与したとウェブサイトは伝えるが、こちらも分校の話はなし。

分校計画の発端となった立命館アジア太平洋大学(大分)には8月、すでに首相が訪問し、ここからも名誉博士号が授与されている。この時の日経報道によると、分校設置の要請はマレーシア側かららしい。日本の法制度上は可能だが、日本と同様の基準を満たす必要があることなど、特に大学進出にはハードルが高いと報道されている。日本の国立大学を出た東南アジア人から聞いたところでは、その大学を選んだのは「担当の先生がツテがあったから。そうでなければ日本語でしか勉強できないところに行く必要はなかった」とにべもない。日本の大学にとっては制度だけでなく、言語も海外交流の大きなハードルだ。

11月に本件を伝えたNNAによると、日本デザイナー学院は2019年、筑波大学は2020年を予定している。規制緩和を議論する文科省の中央教育審議会の時間尺と合うのか。先の10月に実施されたワーキンググループの資料に目を通したが、議論の骨格はおろか、教授言語への視点も薄い印象を受ける。教育期間の国際交流という点で世界の潮流からすでに周回遅れという危機感があるのであれば、既存の会議体以外に諮る手はなかったか。

(Hummingbird Advisories  佐藤 剛己)