ダウェーとチャオピュー同時再始動、政治由来のビジネス・リスク増大か

ミャンマーで長年遅々として進まなかったタイ主導のダウェー経済特区(SEZ)と中国主導のチャオピューSEZで、その開発が加速する兆しが見えはじめた。

ヤンゴンからは約600キロ、またタイの首都バンコクから西に約300キロのダウェーは、ミャンマー最南端州の首都。2008年から開発に向けた準備が進められてきたが、政府と覚書を結んだタイのゼネコン大手イタルタイ社が財務上の問題を理由にプロジェクトを事実上放棄。プロジェクトが棚上げされてきた。日本も経済産業省を中心に大宣伝を繰り返してきたが、ここ数年はヒッソリ。日系企業からは「(ヤンゴン近郊の)ティラワ港整備が先だろう」とする声や、第二次世界大戦中に旧日本軍が建設を強行した泰緬鉄道でカレン族などを中心に18万人が徴用(うち4万人が死亡)されたことによる対日感情から、否定的な見方が多かった。が、再開を探るミャンマー、タイ政府の思惑から今年3月、国境とSEZをつなぐ道路整備を目的に、タイが45億タイバーツのローン(金利1%)をミャンマーに提供することで合意。11月1日に、ミャンマー建設省とタイ財務省下の周辺国経済開発協力機構(NEDA)が覚書を結んだ

チャオピューの方は、「もともと中国からの投資を入れたくなかった」という声もあり、当面の開発計画から中国権益が縮小する傾向にある。それでもSEZ周辺ではすでに中国資本による大規模なインフラ建設が進められる中、導入路で15メートル取れるとされる深海港建設が紆余曲折の末、枠組み合意が今週中にもなされる予定だ。

ダウェーはタイと日本、チャオピューは中国の権益が直接絡む。両者同時の再始動でミャンマーを舞台にする大国の権益獲得競争も激しくなりそう。巨額のインフラ整備を伴うだけに、政治由来のビジネス・リスクも顕在化しそうだ。

(Hummingbird Advisories  佐藤 剛己)