逮捕されたマレーシア前副首相と裏人脈

ナジブ政権時代に副首相まで務めたアフマド・ザヒド・ハミディ(Ahmad Zahid Hamidi)UMNO総裁が、1MDB関連の贈収賄などの関連で逮捕された。マネロン27件、背任10件、収賄8件の計45件の容疑は、絡んだ資金総額がMYR 1億1,400万(約USD 2,700万)に上る。マレーシア国内はもちろん、海外メディアもナジブ前首相に続く大物逮捕を相次いで報じている。

ザヒド氏は内務大臣も務めた影の権力者だった。マレーシアの「マネーポリティクス」を仕切り、また政府に対抗する団体やメディアの弾圧を指揮。黒いネットワークを駆使し、政権を文字通り裏から支えていたとされる。

その片鱗が見えたのが4年前の2014年7月。マレーシア・ギャンブル界の大物Paul Phua Wei Seng、息子Darren Phua Wai Kit両氏が米ラスベガスのホテルを拠点に違法賭博中、米捜査機関FBIに逮捕された時のことだ。同年12月に、当時内務大臣のザヒド氏がFBIに対し、「Paul Phuaはマレーシアの国家安全保障上、多くの支援をしてくれた」ことなどを理由に、保釈と帰国を要請したのだ。 (この初報を伝えた2014年12月31日のMalaysian Insider記事は、同社が政府により2016年3月に閉鎖されたため、入手できない。)ザヒド氏の要請は政府部内でも批判を浴び、その後撤回されたが、米国で逮捕された2人は、嫌疑不十分で保釈された。

父Paul Phua氏は、1MDBの舞台にもなったサラワク州出身。ジャンケットとして名高く、マカオのカジノ王、スティーブン・ウィンとも仕事をしたことがある。ザヒド氏が指摘した「国家安全保障上の支援」(Malaysia Insiderの英文記事によると、”Phua has, on numerous occasions, assisted the government of Malaysia on projects affecting our national security”)の内容は明らかではないが、サラワク州といえば、マハティール氏が政界に返り咲いた今年の総選挙(写真は総選挙ポスター「Sharing a lie makes you a liar」)で、当時与党のUMNOが史上最大の金権選挙を展開した場所。何やら線が繋がりそうである。

(Hummingbird Advisories  佐藤 剛己)