EUベトナムFTA、発効は19年秋以降に

2015年12月に交渉が妥結したEUベトナム自由貿易協定(EVFTA)の発効は2019年秋以降になりそうだ。アジア欧州会合(ASEM)に出席するグエン・スアン・フック首相の訪欧に合わせて今週中に署名がされると報じられているが、ベトナムの人権問題をめぐりEU内部に反対論もなおくすぶっている。

EVFTAは全関税項目の99%についてEUは最大7年、ベトナムは10年かけて撤廃する。在ベトナム欧州商工会議所(EuroCham)会員企業の80%が「中国や日本、韓国、米国に対するベトナムの競争力が増す」と支持する。

一方でベトナムとのFTA締結に反対している欧州議会議員やNGOもいる。また2017年7月にベトナム諜報機関がベルリンで引き起こしたとされるペトロベトナム建設のチン・スアン・タイン元会長の拉致事件により、ベトナムとドイツおよびスロバキアの関係は悪化している。

こうした中で欧州議会国際貿易委員会(INTA)は10月10日、EVFTAの締結に向けた公聴会を開催した。出席したベトナムの人権問題に詳しいグエン・クアン・A氏は、EVFTAが条件としている国際労働機関(ILO)の3条約をベトナムが批准することで人権状況は改善されるとした上で、「EVFTAが採択されれば、EUはベトナムにプレッシャーをかけるテコを手に入れる」と表明した。

クアン・A氏の発言はEVFTAに関するEU内の懸念をかわす根拠となる。またドイツもタイン元会長後の誘拐事件後に一時的に中断したベトナムとの戦略的パートナーシップ関係の再開に向け、ベトナムとの協議に動き始めた。

ただEUの手続き上、欧州議会へのEVFTA批准案が提出されるのは来年春以降、発効は早くても同年秋だ。また欧州議会は2019年5月に選挙がある。改選後は多くの議題があり、EVFTAは来年3月までに批准されなければさらにずれ込む可能性もある。

(ベトナムウオッチャー 杜明英)