グラスバーグ鉱山の合意、順調に進むか

インドネシア・パプアの世界屈指の鉱山グラスバーグ(写真、Wikipediaより。Alfindra Primaldhi氏提供)の権益を巡り、ようやく鉱山会社の米Freeport-McMoranとインドネシア政府が合意した。フリーポート社が特別許可を得て2041年まで操業を続ける替わり、インドネシア政府公社(PT Indonesia Asahan Aluminium、またはInalum)が過半の株式を保有する内容。イナルムの支払いは38億5000万米ドルを支払いに上るという。支払いのうち35億米ドルは権益を握る天然資源会社Rio Tinto(本部英国)に、残る3億5000万米ドルがフリーポート社に渡ることになっている。

同鉱山を巡っては、双方が問題を抱えて対立していた。インドネシア政府は、天然資源や国内産業保護を優先した未加工鉱石禁輸措置を打ち出して、フリーポートに圧力をかける中、セトヤ・ノバント元国会議長(昨年11月に別件でKPKに逮捕)を軸とした利権絡みの対立が表面化していた。一方のフリーポート社は政府圧力に対して操業の一時停止と労働者解雇などで対抗措置を繰り広げていきた。今回の合意に至るまでもフリーポート側は、合意観測の報道に対して一貫してこれを否定していた。

調印してもすんなり行くかどうかは未知数らしい。まずInalumは11月までに38億5000万米ドルを調達する予定にしているが、IDR安の中、予定される債券に買い手がつくかどうか。多くの事務手続きも未完了な上、独禁法上の審査もある。また、グラスバーグでは鉱物成分を含んだ汚染水(鉱滓)の酷さも問題になっており、政府が打ち出した新基準への適合審査なども待っている。

(Hummingbird Advisories  佐藤 剛己)