シンガポール通信大手受難

シンガポール国内2位の通信事業大手スターハブ(Starhub)が今月3日、全2500人余りの正社員のうち300人を年内に整理解雇するという、大規模レイオフを発表した。会社は「strategic realignment」と説明、一時的にシンガポールドル2500万が掛かるものの、2021年までの3か年でSGD 2億1000万が削減できるという。

ここ数年、同社の業績は下降の一途で、マーケットからも批判の声が出ていたのは確か。2015年にSGD 3億7200万あった利益が、2017年には約半分になった。2017年のアニュアル・レポート(214ページ)で、最初に利益の数字が出てくるのが110ページ目とかなり控えめ。前半は、財務報告がほとんどない。

同国内の通信事業はスターハブの他、最大手のシングテル(Singtel)、M1の3社。いずれも複雑なスキームを通じて政府系ファンドのテマセク(Temasek Holdings)がコントロールし、いわば政府の庇護下にあるとも言えるが、この「独占状態」も変わりそう。年内にオーストラリアのキャリアTPGがシンガポールに参入する予定なのだ。ただでさえマーケットは飽和状態なところに、新規参入があれば、既存3社にとって益々の「減量」「効率化」は避けられない。

テマセクも、メディアでに出てくる華々しい業績とは裏腹に、実は台所事情は火の車とも言われる。直近ではSDG 330億の利益を記録する一方、専門家によるとGuaranteed Global Mediuim Term Noteなどの隠れ債務を合わせ、借金はSGD 500億近くに上るともされる。「親」依存が難しくなる中、国内通信3社の今後は前途多難なようである。

(Hummingbird Advisories  佐藤 剛己)