ホーカー(屋台)文化、生き残れるか?!

シンガポールと言えば、ホーカー(屋台)だ。安いところでは一皿3ドル台、高くても5〜6ドル台で食べられる。野菜が少なめなのが玉に瑕だが、ミシュランの星を獲得するような有名ホーカーもある。それぞれの地区で有名店があり、地元シンガポーリアンと話していると、このホーカーではあそこのラクサ、あっちのホーカーではフィッシュボールスープがいい、などなど、ホーカー話が絶えない。そんなホーカー文化を、シンガポールが国連教育科学文化機関(ユネスコ)の無形文化遺産として推薦する、とリー・シェンロン首相が建国記念日のスピーチで明らかにした。加えて、ホーカー文化をさらに広め、生活費を抑えるために、10の社会事業ホーカーセンター(Social Enterprise Hawker Centres、SEHC)と呼ばれる低価格版を作るとしたのだ。

だが、ホーカービジネスは厳しいのが現状。ホーカー1件の賃料はだいたい月1500SGDと言われるが、これも契約が切れると入札になるので既存店も負けると立ち退きを迫られる。筆者が良く行く地元の店も「家賃が3000から一気に5000になったから」と少し前に閉店してしまった。これがSEHCともなると、両替サービス料金、食器の片付けと清掃料金、食品衛生と運営状況の確認料金等、新たに義務として支払わなければいけない費用が増え、屋台1件で月平均4,000シンガポールドル(SGD)の費用がかかるというのだ。また、SEHでは少なくとも3SGD未満のメニューを1つ準備しなくてはならない。シンガポールのフード大使として知られ、自身もマリーナベイに新型屋台村を「マカンストラ」を経営するKFシートー氏も、「SHECの設営費用がこんなにかかるなら、他の飲食店の賃料に大きな影響を与えることになる。今回の計画は本末転倒」とコメントしている

また、都市開発計画の一環で、古いホーカーセンターを取り壊し、新しいホーカーセンターに移転させることもある。昨年末、シンガポールの北部にあるWoodlands Centre Road Food Centreが取り壊され、68件あったホーカーの80%が1駅分東(Mersiling Mall)に移転した。Woodlandsにはバイクで来る客が多かったようだが、Mersiling Mallはバイク用の駐車スペースが限られているせいか、またはロケーションのせいか、ホーカーの賃料は上がったのに、どのホーカーもお得意さんが減って収益減、結果的には今の所ビジネスは良くないらしい。

有名店の中には、月数百万円分の利益を出すところもあるらしい。しかしながら、ドリンクを売る小さなホーカーなどは月3000SGD儲かれば御の字といったところ。ホーカーのオペレーターを増やし、文化を広げ、なおかつシンガポールの生活費を抑えるといっても、一筋縄ではいかない。

(Hummingbird Advisories 白新田 十久子)