軍事協調を強めるASEANと中国

東南アジア諸国連合(ASEAN)と中国の、軍事面での協調が強くなってきた。ASEAN外相会談開催中の8月2、3日には、シンガポールの海軍基地でASEAN・中国初の合同机上演習が行われた。この時期に南洋工科大学から出た論文によると、演習は今年2月のASEAN・中国国防大臣会談で開催が話し合われたもの。フィリピン・メディアによれば、実演習は10月22ー28日に中国・広東省沖合で実施されることも決まっているという。

今年のASEAN議長国はシンガポール。その間に、事がトントン進んでいるような気がしないでもない。そういえば、シンガポール海軍の装甲車「Terrex」が、台湾沖を移送中に中国軍に拿捕されたのが2016年11月。返還までふた月あまりかかったが、返還にあたって中国から突きつけられた「条件」については一切表に出ていない。南シナ海仲裁裁判で中国が糾弾されたのが2016年7月。以降のASEAN各国に対する中国の巻き返しには勢いがある。

ちなみに、合同軍事演習について日本のメディアは、ASEAN外相会談に合わせて「中国、『米抜き』演習提案」(8月4日、日経。他に読売、朝日)などと報じているが、2年以上前の2016年5月のASEAN・中国国防大臣会議で初めて話題になったらしい(南洋工科大学論文など)。合同机上演習については共同電を全国紙では2紙が伝えたのみ。この辺りの事態の推移、日系メディアの報道は流れを追い切れていないように思われる。

(Hummingbird Advisories  佐藤 剛己)