「中国の投資を入れたくなかった」

「チャオピューのプロジェクトに中国の投資を入れたくなかった」と、ミャンマーのテイン・セイン前政権で国家計画・経済発展相を務めたカン・ゾー氏が、ビルマ語新聞のエーヤワディー・ニュース(英語版)に衝撃の発言をした。「チャオピューのプロジェクト」とは、中国を主体に開発が進む深海港と経済特別区開発のこと。報道によるとゾー氏は、「前政権は欧米開発会社の入札を期待していたが、蓋を開けたら香港の開発会社2社の入札しかなかった」と話す。

結局は中国国有企業の中国中信集団(CITIC)が両プロジェクトの契約を獲得した。当初、深海港は73億米ドル、経済特区は27億ドルと見積もられ、CITICが建設し、50年の運営権(25年延長の可能性あり)を持ち、深海港85%、特区51%をCITICが所有すると合意された。カン・ゾー氏は、決定プロセスが必ずしも透明ではなかったと認めつつも、議会の95%以上の承認を得ており、当時は政府としても推し進めるしかなかったとした。

中国からの過剰な投資を懸念するテイン・セイン政権はその後、CITICの深海港の所有率は85%から70%に減らし、特区の所有率も最終判断を留保していた。NLD率いる現政権も、債務超過と中国の過剰投資への国民の反発を心配し、深海港の価値を73億米ドルから13億米ドルに削減する決断をした。前政権下では地元の議員たちには案件について担当閣僚に問いただすことが許されていたが、現政権では何の情報も地元に伝わらないと懸念の声も聞かれる。

中国の投資・開発との付き合い方には、ミャンマーを含めどの東南アジアの国も頭を悩ませ、模索している。欧米や他のアジアの国からの投資とのバランスをどう取るか。今後はさらに自国の利益にあった中国投資の活用が検討されるだろうが、それには大国同士の地政学的パワーバランスの綱引きも重要な要素として影響してくるだろう。南シナ海での行動規範(COC)が議論される中、やはり鍵はASEANと中国の綱引きになりそうだ。

(Hummingbird Advisories 白新田 十久子)