フェイスブック離れと広がる「Minds」

「サイバーセキュリティー法案」の6月の国会における可決を契機に、ベトナムの言論空間としてのフェイスブック離れが進んでいる。代わって注目を集めているSNSが「Minds」で1週間足らずで10万人もが新規に登録したという。

マスコミが共産党のプロパガンダの手段として位置付けられているベトナムでは、人口9000万人超の半数以上が使うフェイスブックが言論プラットフォームの役割を果たしてきた。政治的意見や活動家らの発表の場として使われるだけでなく、政治家の汚職告発や政局の動きなど重要情報が時にいち早く流されてきた。

しかしフェイスブックにとってベトナムの存在が大きくなり過ぎたことは不幸でもあった。ベトナム政府は昨年ごろからフェイスブックやYouTubeへの圧力を強め、「有害な」投稿を行うアカウントや動画を削除させてきた。さらにサイバーセキュリティー法は、ネット利用者の個人情報を保存するサーバーの国内設置やプロバイダーの国内事務所設置を義務付けている。

新法は来年1月から施行される予定だが、先月に発生した特別経済区法案への抗議デモに際しては、参加者が使っていたフェイスブック・アカウントが一部停止されており、締め付けは強まっている。

そしてフェイスブックに代わり急速に普及を始めた言論空間がMindsだ。フィードやメッセージなどフェイスブックと似た機能でありながら、セキュリティーが高い。またオープンソースであるため世界中のITエンジニアが開発に協力できる。

Minds自体は2015年に開発されたとされ、全世界で110万人が加入するが、1割をベトナム人が占めている。既にMinds上では、拘束された人権活動家の釈放を求める運動や中国への批判、脱フェイスブックを促すベトナム人らの投稿であふれている。

ベトナムでは2009年に「Yahoo! 360°」が停止した後にフェイスブックが台頭したとされる。フェイスブックは今後もサービスを続けるため、「害のない」投稿では圧倒的な存在感を保つかもしれない。ただしウオッチャーにとっての位置づけは変わってくることになりそうだ。

(ベトナムウオッチャー 杜明英)