対米関係に影、サイバー法と米国人逮捕

中国という共通の脅威を前に関係を深めていた米越関係に影が差している。一つは6月12日にベトナム国会で可決された「サイバーセキュリティー法案」、そしてもう一つは経済特区法案への反対デモに参加した米国人の逮捕だ。

来年1月に施行されるサイバーセキュリティー法案は、インターネット関連サービスを提供する企業はベトナム国内にサーバー設置が求めるとともに、外資は国内に事務所を設置することが義務付ける。

同様のサイバー法を2017年に施行した中国と同じく、ベトナム政府もSNS上などネット空間での体制批判を封じ込める狙いだ。グーグルやフェイスブックなどの大手ネットサービス事業者を抱える米国は当然に反発した。在ベトナム米国大使館は法案成立前の8日に「サイバーセキュリティやデジタルイノベーションにとって深刻な障壁となり、ベトナムの国際公約とも合致しない」として採決の延期を促していた。

だがトゥアン情報通信相は昨年の国会で「国産SNSも、優遇政策で支援すれば5~7年でフェイスブックやグーグルに太刀打ちできるようになる」と説明している。外資がサーバー設置や事務所開設に応じない場合は、従順なSNS事業者を育てるつもりだろう。法施行までにフェイスブックやグーグルがどういった対応されるか注目される。

もう一つの問題は、10日に発生した経済特区法案への抗議デモに参加したベトナム系米国人ウィル・グエン氏が拘束されていることだ。米国務省報道官はロイター通信に「グエン氏が拘束された際に負傷したと聞いており憂慮している。グエン氏とコンタクトが継続的に取れるようベトナム政府に求めている」と明らかにしている。

デモに関連して全土で100人以上が拘束されたがベトナム系のグエン氏は米国籍とは認識されないまま拘束された可能性が高いようだ。米国に住むグエン氏の家族らは米議員に同氏の釈放に向けて働きかけを進めている。

(ベトナムウオッチャー 杜明英)