前通信大臣と国営銀行元トップの処分

ベトナム共産党中央検査委員会は6月2日、国営通信事業者モビフォンによる有料テレビAVGの買収ならびに建設銀行元会長の汚職にからみ、モビフォンの監督官庁である情報通信省のグエン・バック・ソン前大臣とチュオン・ミン・トゥアン大臣ら、ならびに国営銀行BIDVのチャン・バック・ハー元会長らが法令違反を行ったとして処分を検討すると発表した。グエン・タン・ズン前首相の周辺に対する最高指導者グエン・フー・チョン書記長の追及がまた一歩進んだことになる。

中央検査委の発表によれば、ソン前大臣はAVG買収について既定の調査や手続きを踏まずに承認し、国に3億700万ドルの損失を与えた。当時の副大臣であるトゥアン現大臣も法を守らず一部の決裁書類に署名した。現閣僚に対する違法認定は初めてとなる。このほか省幹部2名とモビフォン当時の会長と社長も違法行為を認定された。

モビフォンによるAVG買収は2016年1月に発表された。買収額は8.9兆ドン(3億9000万ドル)だが、早くから買収の妥当性を指摘され、今年3月には買収契約が取り消された。このM&Aに関与したとされるのが、ズン前首相の娘のグエン・タイン・フオン氏だ。フオン氏が経営するベトキャピタル証券は、父親の影響力の下でモビフォン民営化に向けたコンサルタントとなり、この買収にも深く関与したと言われる。

ハー元会長とBIDV役員2人は、2015年に国有化した建設銀行への不正融資に関与した。建設銀のファム・コン・ザイン元会長個人が保有していた企業12社への総額4兆7000億ドン(2億6000万ドル)の融資が問題視された。ハー氏は2008-2016年までBIDV会長を務めた銀行界のドン。ズン前首相と近いだけでなく、ズン内閣で金融政策や銀行監督を取り仕切った中央銀行のグエン・バン・ビン前総裁とは「特別な関係」にあるとされる。

ベトナム当局は今後、肝臓がんの療養を目的に海外に出国したままになっているハー元会長の身元確保に動くだろう。拘束されたハー氏が何を語るのか。そこがポイントになる。

(ベトナムウオッチャー 杜明英)