電子ごみの増加と、バリューチェーン適正化

パソコン、携帯電話などの不用品から金や銀など貴重資源を取り出すニュースはしばしば見かけるが、多くは有害な電子ごみとして不法投棄されていることはあまり知られていない。含まれる鉛や水銀は、手作業で貴重金属を抜き取る途上国の労働者の健康被害につながっている。

日本から海外に持ち出され違法に投棄される電子ごみは、長らく国際社会で問題視されている。これまで主な仕向け先だった中国は近年、取り締まりを強化(昨年にほぼ全面禁輸)、電子ごみは東南アジアに流れるようになった。この5月30日にもタイ・バンコク南部のラムチャバン港にあった22トンが押収され、地元では大々的にニュースになった。このごみも日本が主要な発出国の一つだったという(他にも香港、シンガポールなど)。

タイは2016年7月、日本からの違法電子ごみ約200トンの返送(シップバック)を初めて実施。日本の環境省も協力して発送元業者に受け入れさせた。が、国際刑事警察機構(INTERPOL)が指摘するように、電子ごみの投棄には暴力団組織が関与するケースが多く、対処を複雑化させている。

国連環境計画(UNEP)とINTERPOLが2016年6月にまとめた報告書によると、電子ごみを含む違法なごみビジネスは年間910 – 2580億米ドルの市場規模があり、年率5 – 7%で成長。日本からの仕向け先は香港からベトナム、タイへ変化していると分析(写真、報告書より)。INTERPOLは、昨年のグローバルオペレーションで150万トンの犯罪絡みのごみを特定した。

日本のメーカーにとり、廃棄物経路をも含めたバリューチェーンの適正化は喫緊の課題である。

(Hummingbird Advisories  佐藤 剛己)