ミャンマー抱え込みを狙う中国

ミャンマーと中国政府代表団が5月29、30日、ヤンゴンでロヒンギャ問題などを非公開会談で協議した模様だ。会談を伝えるIrrawaddyによると、ミャンマー北東部のカチン、シャン州、およびロヒンギャ問題で危機的状況にあるラカイン州の和平回復について話し合われたという。

ロヒンギャ難民をめぐってミャンマーは、70万人の難民帰還について国連と合意したばかり。国連開発計画、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)とも、現地査察と帰還難民の生活確保支援などについて覚書が合意され、今週中にも署名の予定だ。スーチー政権にとっては国際社会の関与を保障するステップになるはずだが、しかし、Irrawaddyに引用される「中国ソース」によれば「中国は、ミャンマーに国連との追加合意をしてほしくない」のだそうだ。

3州はいずれも中国と隣接し、多くの中国企業が投資している。5月半ばには、ミャンマーと国境を接する中国広西省高官らがミャンマー商工会議所連盟を訪問、中国・アセアン非政府民間協議会の設立を呼びかけたばかり。ひたすらアセアン囲い込みを狙う中、特にラカイン州では、チャウピュー港からのガスパイプライン事業に多額投資をしており、OECD各国に「介入」されては困るのだ。

今後の国連などとの合意によっては、ミャンマー国軍将軍が国際刑事裁判所で訴追される事態になる可能性もあり、その場合、中国が何らかの外交的な庇護を提供するともささやかれている。

中国の軍事力を背景とした重商主義的な動きは、日本を含むOECD各国のビジネスにとってミャンマー側のステイクホルダーが変わることを意味する。域内ビジネスに大きな影響を与えそうだ。

(Hummingbird Advisories  佐藤 剛己)