トランプ人脈に食い込む国軍系通信ベトテル

ベトナム国防省系の通信事業者ベトテルがトランプ大統領に近い人物を介して、米政府や議会にベトナムへの武器売却を働きかけていたとの見方が持ち上がっている。ベトテルのエージェントとしてロビー活動を行ったのは、ロシア疑惑などの渦中にあるトランプ氏側近であるマイケル・コーヘン氏の代理人を務める法律事務所。事実であれば、利益相反行為の疑いもある。

5月4日付アジア・タイムズによれば、マクデーモット・ウィル&エメリー法律事務所のステファン・ライアン氏とジェフ・ミラー氏は、ドウェル・ファム・ハリソン法律事務所とともに少なくとも昨年9月から今年初めにかけてベトテルのロビー活動を行った。マクデーモットは月4万ドル、ドウェル・ファムは同1万ドルの報酬を受けている。

ベトテルは国内最大の契約件数を持つ通信事業者で東南アジアやアフリカ、南米にも展開するベトナム有数の国営企業。一方で国防省に代わり人権活動家の通信を監視しているとの批判もされている。

そのベトテルにマクデーモット事務所などは「ベトナム防衛関連の利益」を促進するため雇われた。昨年11月のトランプ大統領による訪越前に「アドバイスと分析を行った」ほか、商務省で武器輸出を担当する部署の局長とも面会している。

実はライアン氏は、トランプ大統領側近でロシア疑惑への関与やトランプ氏と関係を持ったアダルト女優に口止め料を支払ったとされるコーヘン氏の代理人も務める。もう一人のミラー氏も退役軍人長官候補とも取りざたされた有力者だ。

アジア・タイムズはロビー活動がトランプ氏に影響を与えたかは分からないとしている。ただベトナム政府は、2016年11月の米大統領選直後にもトランプ氏の代理人を長年務めたマーク・カソヴィッツ弁護士を通じて、グエン・スアン・フック首相とトランプ氏の電話会談を早期に実現した。側近を重視するトランプ氏の性格を見抜き、自国に有利な政策を引き出そうとするベトナム外交のしたたかさが垣間見える。

(ベトナムウオッチャー 杜明英)