カンボジアでの戦略的情報収集は一層困難に

カンボジア最後の独立系新聞だったプノンペン・ポスト(Phnom Penh Post)が、マレーシアのPR会社Asia PRを経営する投資家Sivakumar Ganapathy(Siva Kumar G)に売却されることになった。Postが5月6日、ウェブ上で明らかにした。Sivaは、カンボジアのフンセン首相のために仕事をしたこともある。新オーナーを巡っては直後から憶測が飛んていたが、上記Postの売却を伝えるニュースリンクは新オーナーからの命令で削除。編集長は解任、これに抗議して多くの記者が会社を辞める事態になった。辞めた記者は12人以上とする報道もある。

売却は、カンボジア政府から「未納」とされた税金390万米ドルの請求がなされた直後。新聞社売却により税金の支払いは猶予された。同じように昨年9月には、別の独立系メディアCambodia Dailyも未納税を請求され、こちらは直後に閉鎖されることになった。今年7月の総選挙を前に現政権は、批判的なメディア弾圧を続けており、その一環とされる。

少なくとも7日の時点で、東南アジアを拠点とする英系ジャーナリストはSivaがフンセン首相に近いことを上げ、「編集権の独立がなくなるのは時間の問題」と見ていたが、これが早くも表面化した。東南アジア系ジャーナリストは「Sivaは金がない。(カンボジア財閥の)カジノ会社NagaWorldを指揮するChen Lip Keongと近く、そこから資金を得ているのではないか」と指摘する。Finantial Timesはヒューマン・ライツ・ウォッチのアジア副代表を引用する形で「政府の贈収賄、権力乱用、嘘を暴いてきたPostの終わりの始まり」と嘆いた

これで少なくとも国内メディアは翼賛体制になった。カンボジアで戦略的な情報収集が難しくなることは、間違いない。

(Hummingbird Advisories  佐藤 剛己)