東南アジアのインフラ投資、中国頼みからの脱却なるか

今月初旬、世界銀行主催のインフラ融資サミットがシンガポールで行われた。 世界銀行によると、アジアの新興国では2030年までに、インフラ整備のために26兆米ドルが必要で、そのほとんどが東南アジアとされる。またアジア開発銀行は、2016年から2030年までの東南アジアでのインフラプロジェクト(道路、橋、港、鉄道)に2兆8千米ドルが必要と見積もっている

このイベントに、東南アジアから7人の財務大臣と2人の財務副大臣がパネリストとして参加した。中国の域内投資の話題で持ちきりだったのではと思ったが、ブルームバーグの記事よると、2時間のパネルセッションで「中国」という言葉が使われたのは2回だけだったという。 ミャンマーやインドネシアはインフラ整備の国債発行を検討、タイは投資家向けインフラファンドの開設を計画している。民間投資や国内調達など資金調達手法を高度化しつつ、東南アジア諸国がインフラ投資を中国外に求める流れが加速しているのだ。

スリランカのハンバントタ港のケース(中国からの融資で建設されたが、債務支払いができず、中国に運営権を99年間「貸与」することとなった)で見られたように、中国の投資が一国の政治や外交、経済的自立、地政学的バランスを変えるケースが出始める中、アメリカのシンクタンク、Center for Global Devlopmentが先月、報告書「一帯一路構想がもたらす債務の意味合いを政策観点から検証」(Examining the Debt Implication of the Belt and Road Initiative from a Policy Perspective)を出し、中国融資の問題点を浮き彫りにした。それによるとラオスを含む8カ国が、中国の一帯一路構想の投資による債務超過にある点、また、債務不履行や国の決定が中国に左右される危険性などから、最も債務リスクが高いと認定された。

そんな中、今年に入り河野外務大臣が毎月のように東南アジアを訪問し、各国との経済における連携・支援・協力を確認し、信頼醸成と様々な仕掛けの埋め込みに努めている。日本政府が東南アジア諸国との関係の維持強化を図る中、日本企業にとっては、東南アジアでの投資機会を見出す好機である。

(Hummingbird Advisories 白新田 十久子)