データ保護主義と国際公約の間で揺れるベトナム

ネット上の政府批判取り締まりや大手ネット企業への徴税強化と、自由な電子商取引を定めた国際協定との間でベトナム政府が妥協点を探っている。

5月からの国会本会議に向けた準備を進めている国会常務委員会は5日、公安省による「サイバーセキュリティー法案」について審議した。同法案のポイントは「ネット関連事業を展開する外資によるベトナム国内での認可取得と拠点設置」義務付け、さらに「サーバーの国内設置」義務付けだった。しかし常務委員会はサーバーの国内設置義務を法案から除外し、拠点設置ならびに「ベトナムの利用者データの国内保存義務」を規定する方針とした。

法案の目的は、ネット上での政府批判の規制、グーグルやフェイスブックといったネット企業の租税回避防止、そして国内ソーシャルメディア産業保護の3点だった。ただ法案による外資ネット企業への規制強化は、EUとのFTAやTPP11などの規定に抵触するとして海外だけでなくベトナム商工会議所も反対していた。当局はサーバー設置義務の除外により国際公約とのバランスを取ろうとしている。

「海外のサーバーからのサービスは認めるが、データは国内に保存しなければならない」という妥協案の現実性や経済界の反応はまだ見えてこない。国会常務委員会の議論について伝えた英字紙VNエクスプレスは当初、サーバー設置義務の除外に力点を置いた記事をホームページに掲載したが、フェイスブックやグーグルへの徴税強化を前面に出した記事に書き換えた。法案成立までまだ波乱も予想され、当局は神経質になっている。

(ベトナムウオッチャー 杜明英)