タイ:EECで中所得国の罠から脱却できるか?

タイ東海岸の三県(ラヨーン、チョンブリー、チャチューンサオ)をまたぐ東部経済回廊(EEC)の開発が活発だ。すでに259件の直接投資プロジェクトが承認された。インフラの拡充も進んでいて、今後5年でタイ最大の工業団地があるマープタプットへの複線鉄道建設、レムチャバン港拡大、バンコク・ラヨーン高速鉄道建設、ラヨーン国際空港の建設、ラヨーン港のアップグレードなどの主要プロジェクトを進める予定だ。将来的にはEECと中国ーインドシナ半島国際経済回廊につなげようという案も上がっている。

投資意欲旺盛の中国や日本の企業だけでなく、さらに外国投資を集めるべくタイ政府は積極的に法律や規制を緩和している。例えば、最初の15年間は法人所得税ゼロ、外国人土地所有規制からの免除、商業・工業地域における99年間上限の長期土地借用合意、5年間のビジネスビザ発給、個人所得税の上限15%などだ。昨年半ばにジェトロが在タイ日本大使館と共同で行ったEECに関するバンコク日本商工会議所理事企業48社緊急アンケートによれば、回答した28社のうち24社がすでにEECに進出。さらに10社は、EEC内で投資を拡大する予定と回答した。

「タイランド4.0」(タイ版第4次産業革命)の下、EECはタイ政府にとってGDPを2020年までに年間5%に押し上げる中核プロジェクトになる。大胆な非製造業への転換、産業の高度化・高付加価値化を図り、中所得国の罠からの脱却を狙っているのだ。そのためには、ジェトロのアンケートの企業回答にもあるように、政策や法執行の安定性や、経済成長を支えるタイ人高度人材育成や研究開発環境整備が必須だ。さらに、軍政になってひどくなったと言われる汚職の取り締まりはもちろん、投資企業が安心して事業展開できる環境整備も必要になる。

(Hummingbird Advisories 白新田 十久子)