「民営」サベコ、多難の船出

タイのビール会社タイベブ(Thaibev、「Chang」など製造)に過半を売却したベトナムの元国営会社サベコ(Sabeco、「333」など)。多くの国営企業民営化を旗印に、エポックメーキングのディールと注目されたが、早くも多難な船出の一旦が次々と明るみ出てきた。業を煮やしたタイベブ側は、タイの超富豪チャロン(Charoen Sirivadhanabhakdi)会長名でベトナム政府に改善要求するまでに至っている。

タイベブがサベコの53.59%を買収(48億米ドル)したのが昨年末。同じく買収を狙う大手競合がひしめく中、タイベブは急ごしらえで子会社ベトナムF&Bアライアンスを作り、これをベトナム内資企業扱いとさせることに成功。競合を出し抜いてサベコの過半取得に成功した。

直後からタイベブ側は役員3人を入れることを提案してきたが、サベコ側と一部政府部内の強烈な反対で梨の礫。タイベブの改善要求を受けてようやく、4月23日の臨時株主総会で1人は認められる見込みになった。さらに2人就任の可能性は6月の定時株主総会を待たねばならない。ベトナムのエコノミストからは「自分たちでコントロールしたかったのなら、過半を外資になど売ってはいけなかったのだ」と、最もなコメントが聞かれる

財務的にも火種がある。もとから杜撰な財務体質、複雑な自前販路の非効率性が指摘されてきた。加えて最近、ベトナムの国家会計監査院から2016年度末までに発生した未分配利益分の配当1億1000万米ドル余の国庫編入を求められた。タイベブにとっては「隠れ債務」の発覚だ。株価は買収時から25%も下落し、タイベブ保有分の企業価値は12億米ドルも毀損してしまった。タイベブは、宝を手にしたものの課題山積なのだ。

(Hummingbird Advisories  佐藤 剛己)