フィリピン、原発稼働間近か

マニラ湾を挟んで首都の反対側(西)にあるバターン半島。ここに東南アジア唯一の原子力発電所(通称BNPP)がある。1976年に建設計画が始まり、完成直後、旧ソ連でのチェルノブイリ原発事故などで一度も稼働されていなかった。23億米ドルあまりの借金償還が今年終わる予定の中、再稼働に向けた動きが目立ってきた。

昨年10月、ロシアの原発会社Rosatomが施設を見学、フィジビリティスタディを実施(2国間協力に基づき無償だったらしい)、修復作業など再稼働に向けた準備に30ー40億米ドルかかると資産した。受けてフィリピンのエネルギー省Alfonso Cusi大臣もロシアに追加協議に赴いたほか、IAEAの天野之弥事務局長らとも会談を繰り返している。

最近では、フィリピン火山地震学会(Phivolcs)も「BNPP直下の地盤は大丈夫」とお墨付きを与え、にわかに原発機運である。「先進各国のほとんどは原子力エネルギーを利用している。中国は50か所の原発を作っている。原子力発電が導入されれば、今では1キロワット時間あたり5ペソの電気料金は1.8から2ペソになる」と、推進派議員(Joseph Victor Ejercito上院議員ら)の声がしばしばメディアでも紹介されている

議会上院のエネルギー委員会は意見が割れているらしく、再稼働の結論が出るまでには紆余曲折ありそう。それにしても、ロシアの協力で東南アジアに原発ができるとなると、日本を含む欧米各国には穏やかではない。年々露系企業の存在感は域内で増しているだけに、関係国はパワーバランスの維持に一層苦心しそうだ。

(Hummingbird Advisories  佐藤 剛己)