人権問題とEUベトナムFTA

ベトナム最高指導者のグエン・フー・チョン書記長は先週、旧宗主国のフランスを訪問した。訪問中、航空機や鉄道整備などで両国企業間の大型契約が相次ぎ締結され、越仏関係樹立45周年に花を添えた。

ただ人権問題はここでも問題になった。NGOの連合体ワールドワイド・ムーブメント・フォー・ヒューマンライツはチョン書記長の来仏に先立つ3月24日、マクロン大統領に公開書簡を送り、過去14カ月に市民活動家62人がベトナムで拘束されたことなどに触れ、政治犯の釈放をチョン書記長に要求するよう求めた。

NGOの圧力がどの程度効いたかはわからないが、フランス大統領府は、マクロン大統領が首脳会談でベトナムの人権状況や活動家の拘束について言及したとしている。

さらに越仏共同声明でも、「両国は国連憲章や国際条約に基づいた人権や基本的自由の推進の重要性を強調した」とうたわれた。

興味深いの共同声明において人権への言及が、欧州ベトナムFTAに関する記述よりも先に記された点だ。FTAについては、「2018年中にEUとベトナムが批准し、早期に発効することを両国が希望する」と盛り込まれた。

昨年7月にベルリンで発生したベトナム情報当局の手によるとされるチン・スアン・タイン・ペトロベトナム建設元会長の拉致事件が、独越間の外交問題に発展しており、EU-ベトナムFTA批准への影響も指摘されている。ベトナム国内の縫製業界などから期待が大きい越欧FTAへの道のりは、平たんではない。

(ベトナムウオッチャー 杜明英)