東南アジアの民主主義:カンボジアとインドネシア

来週の河野外務大臣のカンボジア訪問を控え、薗浦内閣総理大臣補佐官が4月20日にフン・セン首相と面会した。野党カンボジア救国党との和解、または恩赦の可能性についても話されたようだが、フン・セン首相は「そんなことをしたら最高裁の決定に反することになり、自分が刑務所に入る」などとして、可能性を完全否定した。(在カンボジア日本大使館の鈴木宏典参事官は、河野大臣のカンボジア訪問はまだ決定していないとしている。)

フン・セン首相は今年1月の中根一幸外務副大臣とのミーティングで、今年7月29日実施の国民議会選挙のための財政支援と選挙監視オブザーバーの派遣を要請。これを受けて日本は投票箱1万個など700万米ドル相当の備品寄付を約束した。

カンボジア救国党解党後、その非民主的流れを批判する米欧が選挙支援からの撤退を決めた一方、中国からは今回1200万米ドルの支援が入る。日本が引くわけには行かない。引き続き支援を継続して関係を保ちつつ、カンボジアの政治状況を見極めたいのであろう。しかし、フン・セン政権の独裁が変わる気配はなく、カンボジアとの外交関係をどうするのか、日本は難しい判断を迫られている。

民主主義の後退という意味では、インドネシアでも物議を醸した法案「MD3法」が、ジョコ大統領の反対を押し切って今月議会で成立した。MD3法は、議会やそのメンバーを不敬する(disrespect)人を処罰するものだが、「不敬」行為の中身は明確に示されておらず、国内でも懸念や反対の声が上がっている。また、MD3法が、議会メンバーの捜査に下院倫理協議会(House Ethics Council)の承認を必要とする点も批判の的。すでに法律反対の請願書が3件、憲法裁判所(法律の再審査が可能)に届いている。司法にすら汚職がはびこるインドネシアでは、MD3法が、汚職撲滅保委員会(KPK)の議会メンバーへの捜査を妨げ、汚職の隠れ蓑に使われるのではないかと懸念されている。

経済発展を軌道に乗せ、国民の生活も豊かになり始めた東南アジアだが、それぞれの国によって民主主義の「形」が違い、またそれが全体では後退しつつあるようだ。それぞれの国の政治展開が、国民生活の向上と幸福につながることを願うばかりである。

(Hummingbird Advisories 白新田 十久子)