不透明感増すカンボジア政治と投資環境

32年続く独裁政権が、さらに世論を抑え込むかのような法案を議会に提出する予定だ。「王族全て」に対する不敬行為に対し、最長5年収監の罰則を含む不敬罪法案だ。この法案は王族、つまりmonarchyがタイのように国王とその一等身血縁者だけを指すのか、はたまた国王から与えられる栄誉称号「オクニャー」「サムデク」を持つ、いわゆる「名誉王族」を含むかがはっきりしない。サムデクの敬称は少なくとも7人の非王族が持っていて、はフン・セン首相と妻、ソー・ケーン内務相、ティア・バニュ国防相、サイ・チュム元老院議長が含まれる。

昨年カンボジア・デイリーを廃刊に追い込み、野党を解党し、政権反対派を徹底して押さえ込むことに成功したカンボジア。米国の反発を尻目に、中国との蜜月は深まるばかり。中国の影響力が強化されるのと、基本的な法の支配が独裁政権の解釈で簡単に変わりつつあるカンボジアは同時進行のように見える。

表向き外国投資を引き続き奨励しているが、果たして近未来の投資環境はどうか。労組を通じた破壊工作、資産没収、贈賄要求など、政治プロセスが不透明な国家の例を上げればきりがなく、外国企業にとっては進出した後の「政治リスク」増大が懸念される。

廃刊したカンボジア・デイリーの最後の表紙を飾った言葉は、「Descent into outright dictatorship (完全なる独裁政権に堕ちた)」だった。

(Hummingbird Advisories 白新田 十久子)