東南アジアでは稀に見る議論闊達なインドネシア

インドネシアで進む住民登録票の電子化事業を巡る一大疑獄は、セトヤ・ノヴァント元国会議長が逮捕、その裁判が始まって、今後真相が明らかになることが期待されている。そんな中、英国オックスフォード大学で同国政治を学ぶ博士課程の学生が、これを題材に「インドネシア政治の危機だ」との論陣を張った。疑獄自身は政府KPKが勢力的な捜査を続ける一方、有力な証言者が米国で自殺、別の証言予定者も有力議員からの圧力を理由に証言を拒むなど、障害にぶち当たっており、インドネシアが民主主義を堅持できるかどうかの瀬戸際に立っている、という主張だ。

東南アジア各国で言論弾圧が強まる中、こうした主張が比較的自由にできるのが、インドネシアの他国と異なるところだ。例えば、タイは昨年4月、国外からタイ軍事政権を批判する人物として3人(京都大学のタイ人准教授、フランスに政治亡命したタイ人、スコットランド人ジャーナリスト)のSNSなどへのアクセスと拡散禁止を国内居住者に命じている。

年明けに会った在ジャカルタの米国人ジャーナリストも、「インドネシアでは言論弾圧がとても少なく、インドネシア人ともいい意見交換ができる」と話していた。闊達な議論は成長につながるはず。インドネシアが政治的にも経済的にも大きく飛躍することを期待したい。

(Hummingbird Advisories  佐藤 剛己)