ネット監視を強めるベトナム

ベトナムがネット空間での言論監視を強めている。12月下旬、人民軍幹部が1万人規模の「サイバー部隊」がネットでの「誤った見解」との闘いに従事していると明らかにした。「第47部隊」という名称のサイバー部隊は、「反国家的宣伝」に対応しているという。

ベトナムの公式メディアは当局の管理下に置かれている。このため政府や体制批判は、必然的にフェイスブックやユーチューブなどが主戦場だ。当局も当然、フェイスブックなどでの言論には神経をとがらせており、昨年も何人ものブロガーらが拘束、有罪判決を受けている。また情報通信省は、外資を含むベトナム国内企業にフェイスブックやユーチューブでの広告停止を働きかけた。チュオン・ミン・トゥアン情報通信大臣によれば、フェイスブックは反政府的なアカウント159件を、ユーチューブも4500件の動画を削除した。

第47部隊の存在を公言したのは、こうした一連の監視強化の延長線上にある。昨年秋の国会では「サイバーセキュリティー法案」が継続審議となった。法案の肝は「ネット関連事業を展開する外資によるベトナム国内での認可取得と拠点設置」と「サーバーの国内設置」義務。昨年6月に施行された中国のサイバーセキュリティー法との類似が指摘される。

同法案については、グーグルやフェイスブックにも国内の拠点やサーバー設置を求めるのは非現実的という批判は国内からも上がっている。またEUとのFTA、TPP11の規定にも矛盾するとされる。ベトナム当局は、国内での体制批判を封じ込める思惑と国際公約との間で最大限の監視策を探っているはずだ。

(ベトナムウオッチャー 杜明英)