北朝鮮問題の裏で、中国が固定化する南シナ海「軍事拠点」

世界の注目が北朝鮮の脅威に向く中、中国が着実に南シナ海の人工島の軍事的整備を着々と進めていたようだ。アメリカのシンクタンク、戦略国際問題研究所のAMTI (Asai Maritime Transparency Initiative) の報告によると、中国は2017年を通して南沙・西沙諸島の人工島を空・海軍のフル機能を備えた基地にすべく、2万9千平方メートルの土地の整備、建物・設備の建設を進めた。

新たにレーダー配列を加え、貯蔵トンネルを完成させるなど、コミュニケーション及びセンサーレーダー能力を増強、中国が南シナ海の本拠地とするウッディー島には空軍のファイタージェットを展開させた。「もしも」のための本格的な軍事活動のための準備と言ってもいいだろう。中国はまた、南シナ海全体の監視を24時間体制で行うために、今後3年間で新たに衛星を10基打ち上げる予定だ。

中国とアセアンは今年すでに南シナ海における行動規範の枠組みを承認しており、内容に関する交渉を開始することで合意している。北朝鮮問題でアメリカや日本の注意が南シナ海からそらされがちな中、中国とアセアンの行動規範に関する協議もまるでカタツムリのレースのような速度しか進まない。中国はさらに時間稼ぎし、人工島をより強硬な軍事拠点にしていくことであろう。

衛星の打ち上げで南シナ海における中国の監視が進めば、果たして公海における商用船の航行の自由・安全は保障されるだろうか。北朝鮮問題が中国の南シナ海における国益追求の隠れ蓑にならないよう、南シナ海問題へのエンゲージメントが求められる。

(Hummingbird Advisories 白新田 十久子)