中国製鉄鋼のベトナム迂回輸出

米国商務省がベトナムから輸出される鉄鋼製品に下した制裁関税の仮決定に対して、ベトナム国内で危機感が広がっている。仮決定は中国企業が制裁関税を回避するためにベトナム経由で迂回輸出を行っているとしているが、ベトナム側は対米輸出される鉄鋼製品に占める中国からの仕入れ量や中国産半製品にベトナム国内で施す加工の点で異議を唱えている。

米政府は2016年、中国製の耐食性鉄鋼と冷延鋼板に反ダンピング関税と、補助金に関する相殺関税を最終決定した。今回の仮決定によれば、対中制裁の実施と前後してベトナムからの耐食性鉄鋼の対米輸出は40倍の8000万ドルに、冷延鋼板は24倍の2億1500万ドルに増えた。米商務省はこれを迂回輸出と認定し、ベトナムを経由する中国製耐食性鉄鋼と冷延鋼板に対して反ダンピング関税と相殺関税をそれぞれ199.43%と39.05%、265.79%と256.44%を課す仮決定を下した。

ベトナムから対米輸出される鉄鋼製品のうち90%は中国製との算定もある。ただベトナム商工省によればその比率は34%としている。

またベトナム鉄鋼協会は、中国産の半製品にベトナム国内で実施する腐食防止や冷間圧延加工は非常に重要な工程であり、冷間圧延の場合、中国から輸入される熱延製品の付加価値を30~40%高めていると主張する。さらに鉄鋼協会は、米国がベトナム国内の加工で高められる付加価値の条件を規定していないと指摘し、商工省にWTO規定に沿った対応を求めている。

ただ欧州不正対策局も11月、中国製鉄鋼がベトナム経由で迂回輸出をしたと認定している。トランプ政権は、巨額の貿易赤字の相手国である中国に対する通商圧力を加えており、中国産アルミニウムのベトナム迂回輸出に対する調査も進めている。米商務省による最終決定は来年2月16日に出される予定だが、ベトナムの旗色は良いとは言えない。

(ベトナムウオッチャー 杜明英)