フィリピンとマレーシアを挟むスールー海の治安は、フィリピンに拠点を置く過激派アブ・サヤフの誘拐・海賊行為もあってなかなか改善しない。隣国マレーシアで海域警護を担う東部サバ治安司令部(The Eastern Sabah Security Commnad, ESSCOM)は今月5日、誘拐脅迫を生業とする少なくとも4つの新たなグループがサバ海域に侵入を試みていると公表した。
グループはいずれもフィリピン南部でアブ・サヤフの拠点があるTawi-Tawiから来たと見られている。Tawi-Tawi西端の島Sitangkai島(フィリピン領)から、都市としてもっとも近いマレーシアのLahad Datuまでボートで30分の距離だ。
海域では、インドネシアを加えた3か国が継続して共同警備を実施しているが、2015年後半以降、フィリピン及びマレーシア・サバでの誘拐事案は増加の一途だ。当地で事業を行う企業には衛星電話などの備えが必須だ。
(Hummingbird Advisories 佐藤剛己)