ズン前首相の肝いり案件、環境省の特別管理下に

ベトナム天然資源環境省は11月27日、環境汚染のリスクが高い国内28件の事業について特別管理下に置くと発表した。2016年に中部沿岸で魚の大量死を引き起こしたとされる台湾系フォルモサ製鉄所などに加えて、グエン・タン・ズン前首相の肝いり案件であるヌイファオ・タングステン鉱山(タイグエン省)も対象に入った。

28件のリストにはセメント、火力発電所、鉱山開発などの大規模事業が含まれている。これまでにも排水が問題となっている中国系理文造紙の製紙工場のほか、中国繊維テクスホンの工場、住友商事や三菱商事が参画する建設中の石炭火力発電所も入った。

リストは廃棄物の規模や影響、立地などに基づいて策定され、それだけで「汚染企業」を意味するわけではない。ただコングロマリットのマサン・グループが運営するヌイファオ鉱山は、環境基準に沿った操業がされていなかったなどを理由に7月に罰金が科された。

世界最大級のタングステンを埋蔵する同鉱山は2010年にマサンが取得した。その際にマサンのコンサルタントを務めたのが、ズン前首相の娘、グエン・タイン・フオン氏が創業したベトキャピタル証券だ。

最高指導者のグエン・フー・チョン共産党書記長は、昨年1月の党大会でズン氏を引退に追いやった後、前首相の閣僚を相次ぎ処分しており、最終的なターゲットとしてズン氏自身に照準に当てているとされる。今回の「特別管理」が何を意味するのか。注目に値する。

(ベトナムウオッチャー 杜明英)