サムスン・LG製洗濯機への米セーフガード

米国際貿易委員会(ITC)が11月21日、住宅向け大型洗濯機に対する緊急輸入制限(セーフガード)発動をトランプ政権に勧告することを決めたと発表した。サムスン電子とLG電子による洗濯機の輸入急増が国内メーカーに深刻な被害を与えているとの理由だが、実際にセーフガードが発動されればベトナムがとばっちりを食う。

勧告に従えば、輸入が年120万台を超えた場合、最大50%の追加関税が3年にわたり課される。追加課税の対象は100万台におよぶ可能性がある。さらにITC内には120万台以下についても最大20%の追加関税を3年間課すとの意見もある。韓国の産業通商資源省は「追加関税20%が課されれば、対米輸出に大きな打撃」と警戒感をあらわにする。

実は問題は米韓の二国間貿易に限らない。LGの洗濯機は8割、サムスンもほとんどをベトナムとタイで生産しているからだ。米国の貿易統計をまとめたサイトによれば、ベトナムからの洗濯機輸入額は4億2000万ドルで全体の3分の1を占めてトップ。タイは2億5000万ドルで続く。両国は昨年、対米洗濯機輸出で上位5位にも入っていなかったことから急増ぶりが見て取れる。韓越両国は今月中旬、担当閣僚の会談で、セーフガード措置に対する「共闘」に向けた協議に入った。

ただベトナムやタイにとって気になるのはサムスンもLGも米国内で家電工場を建設する計画があることだ。2社が米国による貿易保護措置を回避するために東南アジアでの現地生産を減らす方向に舵を切れば、両国の貿易や雇用が逆に減少のリスクにさらされる。トランプ大統領は年明けにセーフガードの是非を判断する。

(ベトナムウオッチャー 杜明英)