自殺、うつ、海外赴任

櫻井教授

救命救急センターで仕事をしていると自殺企図(自殺を試みること)の方が救急搬送されてきます。時に手遅れとなると家族の悲嘆は非常に強いものです。自殺企図者の退院の際は精神科に必ず診てもらい、その後に退院となります。自殺を試みるということに精神疾患が関わっていることがあるからです。海外ではここ数年、自殺が日本人の死因の2位につけていて、海外赴任者を出している企業は、今以上の駐在員ケアを検討してもいいでしょう。

精神病で自殺したくなる代表的な疾患にうつ病があります。現在、うつ病の原因は薬剤が有効である事から、脳内の神経伝達物質の働きの問題等が研究されています。私の友人が厚労省の自殺予防のキャンペーンに関わっていたことがあり、その事業で静岡県が富士市で実施した「富士モデル事業」があります。うつ病でよく見られる症状の一つである不眠に着目し、様々な広告媒体を通じたうつ病の普及啓発活動を実施したもので、自殺予防対策CMも作っていました。

日本では年間3万人近くが自殺で亡くなっています。海外では2015年には46人(死因2位)、うちアジアでは23人(同2位)が自殺で亡くなりました。その自殺したくなる代表的な病気のうつ病は専門医の診察と治療が必要です。様々な相談に乗ってくれるメールや電話のシステムもあります。眠れない夜に不穏な考えが浮かんだら、自分は病気なのでは、治療が必要なのではと考えて助けを求めて下さい。

(櫻井 淳、日本大学医学部救急医学系救急集中治療医学分野 診療教授)