インドネシア国会議長、「犠牲者」も出た汚職事案で逮捕

インドネシアで最古参政治家の一人、セトヤ・ノバント国会議長が11月19日、KPKの捜査着手から3年を経て逮捕された。ノバントは与党連合ゴルカル党党首。容疑は、政府が進める身分証明書の電子化という、これまでに4億4700万米ドルが支出された一大事業で、法案成立の見返りに賄賂を得たというもの。関与する国会議員は数10人、総額1億7200万米ドルがかすめ取られたとされた。ノバントを逮捕した汚職追放委員会(KPK)が2014年から捜査を開始、今年3月には汚職特別裁判が始まっていた。

ノバントといえば、2015年12月にはインドネシア・パプアのグラスバーグ鉱山開発を巡り、米の開発会社と贈収賄謀議の会話テープが暴露されるなど物議を醸した人物。2015年11月には、日本で安倍首相と会談している。

KPKの捜査によれば、贈賄の直接首謀者は事業を受注した業者で、2011年から2012年にかけて複数企業の80人以上とネットワークを構築、関係議員に「実弾」を放ったとみられている。

本事案では「犠牲者」も出ている。事情を知る人物として捜査関係者から接触されていた米在住インドネシア人が、身の危険を仄めかした矢先の今年8月、ロサンゼルスで自殺したのだ。権力者からの圧力を受け続けるKPKだが、この汚職事件の行方はインドネシア政府の姿勢を占う先行指標になりそうだ。(敬称略)

(Hummingbird Advisories 佐藤 剛己)