エクソンモービルの南シナ海ガス田

ベトナムでのAPEC首脳会議直前の7日、開催都市ダナンで一つの重大な発表があった。エクソンモービル開発部門のリアム・マーロン代表がフォーラムで、南シナ海のガス田「ブルー・ホエール」開発に向けたベトナム側との最終合意について「2019年までに」と発言したのだ。

ベトナムのフック首相は8月、APEC首脳会議にトランプ大統領が来るタイミングでプロジェクト開始をエクソン側に求めていたが、マーロン氏は「まだ合意できていない部分がある」と明らかにした。

発言が示唆に富むのは、ブルー・ホエールが中国も領有権を争う南シナ海に広がるからだ。エクソンが考える掘削地点は、悪名高い「九段線」から外れているが、2014年にベトナムで大規模な反中暴動につながった中国リグの活動場所と同じ海盆にある。
南シナ海では今年7月、スペイン・レプソルが開始したガス田掘削について、ベトナム政府は中国による圧力を受けて中止に追い込まれた。エクソンとの合意が延期されたのも、APECを無難に乗り切るため中国に配慮したとの見方もあれば、純粋に投資条件で合意できなかったためとの憶測もある。

ブルー・ホエールの天然ガス埋蔵量は1500億立方メートル。クアンナム省にある発電所までパイプラインでガスを運ぶ数十億ドル規模の一大プロジェクトだ。石炭発電への依存度が高いベトナムにとって簡単に諦められる代物ではない。同時にエクソンは米国企業であり、ティーラーソン国務長官がCEOとしてかつて率いていたオイルメジャーだ。中国が簡単に手が出せる相手でもない。

マーロン氏は2019年の最終決定に先駆けて「年内に具体的な合意を目指す」としている。南シナ海の政治情勢をめぐり、国際的な駆け引きが今も続いている。

(ベトナムウオッチャー 杜明英)