ロヒンギャ弾圧を否定、孤立深めるミャンマー

ミャンマー西部ラカイン州から迫害を恐れて隣国バングラデシュに逃れたイスラム系少数民族ロヒンギャの難民が8月25日以降、約62万人に達する非常事態が続いている。ティラーソン国務長官は11月15日、ミャンマーの首都ネピドーでアウンサンスーチー国家顧問と会談し、「政府軍部隊や自警団による残虐行為があったことを確認している」と述べて深刻な懸念を表明した。プラミラ・パッテン国連事務総長特別代表は12日、ロヒンギャ女性に対する集団レイプなど「人道に対する罪」に当たる残虐行為があったと指摘。国連総会の人権委員会は16日、ミャンマー政府に軍事力行使の停止、ロヒンギャの保護を求める決議案を賛成多数で採択した(日本は棄権)。

ノーベル平和賞受賞者のスーチー国家顧問は、ロヒンギャ問題について一貫して消極的な姿勢を見せ、逆に政府軍は13日、民間人への攻撃や暴行、略奪などは「なかった」とする独自の調査結果を公表した。

筆者はこのほど、バングラデシュ南東部コックスバザール県に広がる劣悪な環境のロヒンギャ難民キャンプを取材した(写真、筆者撮影)が、「家族11人を殺され、自分だけ逃げ延びた」という11歳の少年、「両親と夫、子供を殺された」という20代の姉妹をはじめ、政府軍兵士に撃たれたり切り付けられたり、家を焼かれた際に火傷を負った女性など多数の被害者を確認した。政府軍発表は全くの虚構と言わざるを得ず、国際社会がこれを受け入れるはずはない。

ミャンマーは2011年、軍事政権から民政移管し、2016年にスーチー氏率いる民主化勢力が政権についた。民主化進展への期待から日本を含む外国企業が殺到して“ミャンマー・ブーム”が過熱したが、実際には言論統制は続いており、今回のロヒンギャ問題は国際社会のミャンマーおよびスーチー国家顧問に対する評価を押し下げた。ティラーソン国務長官は「経済制裁発動は現時点では適当ではない」との見解を示したが、そうしたオプションに言及されたこと自体、ミャンマーを取り巻く環境の変化を如実に表している。

(ジャーナリスト 中坪央暁)