「サムスンのベトナム工場は過重労働」NGO

「聞き取りした全労働者が職場でめまいなどを経験しており、流産が異常なほど多い」。サムスン電子がスマートフォンを量産するベトナムの2工場の労働環境をまとめた報告書で、ラインに立つ女性労働者の過酷な労働実態をNGOが批判している。
報告書は、ベトナムのNGO「開発におけるジェンダー・家族・環境研究所」(CGFED、ハノイ)とNGOの国際ネットワーク「公衆の健康と環境に関する世界ネットワーク」(IPEN)が11月6日に公表した。

調査では、ベトナム北部バクニン省とタイグエン省にあるサムスン電子のスマートフォン工場で働く女性45人に聞き取りを行った。その結果、45人全員が過労を認識しており、職場で気が遠くなったりめまいを経験していることがあると訴えた。
彼女たちは8~12時間のシフト労働では立ちっぱなしで、週末も昼夜のシフト勤務があることが分かった。さらに流産が異常なほど多く、妊婦は休暇を取ると給与が控除されるため休まず働いている。視力の低下や鼻血、骨や関節、足の痛みを抱える女性もいた。

職場では休憩も制限されており、トイレの利用も許可がいる。また化学物質が使われる工程と同じ工場内にラインがあるため、労働者が化学物質にさらされるリスクについてはさらなる調査が必要な状況だ。

CGFEDは、「全員がめまいや気が遠くなることがあるというのは異常事態。非人道的な残業やノルマも課せられている」と批判している。彼女たちの月給は280ドル程度で、自分たちが組み立てているギャラクシーS8の価格の半分に満たない。しかし工場内の情報は業務上の秘密とする社内規定により労働者は職場環境について口を閉ざしているという。

報告書に対してサムスン電子は、「労働環境に起因する流産はない」と否定。ベトナムの工場では約4千人の妊婦が働いており、別の作業ラインに配置したり妊婦用の食事を提供するなど配慮していると反論している。またベトナム当局や国際認定機関による現地調査を毎年受けているが、こうした指摘を受けたことがないと説明している。

サムスン電子のスマホはベトナムの輸出全体の2割を占める。グエン・スアン・フック首相も7月にサムスンの工場を視察するなどベトナムでは模範的な製造現場とされる。ベトナム国内のメディアは今回の報告書について報道していない。

(ベトナムウオッチャー 杜明英)