ロヒンギャ追い返しと、先鋭化する自国主義

「ロヒンギャ難民を追い返すべきではなかった」と、訴えている人たちがいる。マレーシアの弁護士集団Lawyer for Liberty(LfL)だ。グループのサイトや、28日にFree Malaysia Todayに掲載された意見広告によると、 マレーシア空海軍は16日、インドを西に臨むアンダマン海に面するランカウイ島沖で、200人あまりの難民を乗せた船を発見したが、当局は「Covid-19感染拡大の恐れ」を理由に沖合から追い返したという。

この発表内容を正当な安全策と取るか、自国主義の発露と取るかは見方が分かれる。日経電子版はどちらかと言えば当局寄りで、「今後こうした(難民が避難するための)ルートが閉ざされる可能性」を指摘。英国BBCは、同じ船が直後にバングラデシュ沖で保護されたと認定した上で「(それまでに)大勢がベンガル湾の洋上で死亡している」と、難民側からの視点で伝えている。

前述LfLは、今回のロヒンギャ難民がランカウイに来た10日前、4月5日にやってきた別のロヒンギャ集団250人が当局から庇護を受けたことを理由に、今回も差別すべきではなかったと訴える。LfLは弁護士の中でも社会公正(ブミプトラ政策廃止)と反汚職をスローガンに掲げ、2年前に政権に返り咲いたマハティール氏率いるパカタン・ハラパン連合政権時で第1党だった人民正義(公正)党を支持していた。(写真は、バングラデシュに多数流入するロヒンギャ難民。中坪央暁氏撮影。)

(Hummingbird Advisories  佐藤 剛己)