メコン川:少しずつ、でも確実に減るアメリカのプレゼンス

先週、ミャンマーのヤンゴンでGreater Mekong Forum on Water, Food and Energy(水・食料・エネルギーに関する大メコン圏フォーラム)が開かれた。それに続き、中国とメコン流域の3カ国(ラオス、ミャンマー、タイ)がメコン川共同パトロールを行った。

メコン川は言うまでもなく中国の「一帯一路」構想にとって欠かせない水路であり、中国は影響力を強めるべく、周辺国、特にメコン川流域のラオス、ミャンマー、タイへのインフラ投資を進め、南シナ海において対立するベトナムもインフラ投資を通して懐柔しようとしている。中国主導で行われているメコン川のパトロールはすでに63回目となり、その存在感は安定さえしていると言えよう。

中国主導のLancang-Mekong Cooperation (LMC)や、米国主導のLower Mekong Initiative (LMI)も参加したフォーラム。しかし、知見共有の場と位置付けられるだけで何かが決まるものではない。流域各国の利害対立が大きい、中国の圧倒的な政治的財政的な力を前に他国は自国の主張を実行に移せない、などの課題があるらしい。「中国は、下流の小国(カンボジア、タイ、ラオス、ベトナム)を自国主導のLMC機構に無理やり引き込もうとしているが、それは結局、メコン側の中国の独占的地位を正当化することになる」と、会議中に中国からの力づくの議論があったことを伺わせる報道もあった。

すでに安定感さえある中国のメコン川流域での支配力だが、トランプ政権の出方によっては、それが揺るぎないものとなりかねない。今月開催されるAPEC首脳会談(ベトナム)とASEAN首脳会談(フィリピン)でトランプ大統領がアメリカの東南アジアへのコミットメントを再確認できるか、注目されるところである。

(Hummingbird Advisories 白新田 十久子)