「ハンコが偽造防止に役立つ」は本当か

日本はハンコ文化からの脱却を言われて久しい。これに代わるのが電子署名なのだが、東南アジアの弁護士事務所が9日、Covid-19の伝播を受けて、電子署名はどの国でどこまで通用するのかまとめた。西はバングラデシュから東はベトナムまでの9か国(ブルネイ、フィリピンを除く)。それによると、商行為における電子署名は裁判での証拠資料として、ほぼ全ての国で認められている。企業の人事採用、事業上の売買契約、知的財産契約などは概ねOK。逆に日本で言う公正証書に相当する遺書、不動産売買などは不可になるケースが多い。

例外はマレーシア。慣例的に他国同様に電子署名は認めるが、これを規定する法律がないのだ。逆は意外にもミャンマーで、電子署名を規定する法律はある(The Electronic Transaction Law (2004)、2015年改定)が、電子署名の利用不可事案を規定する法律がない。

さてハンコ(写真は筆者所有)。日本では「押印のためにわざわざ会社に出る」というニュースもあるほどハンコ文化が浸透している。仕事で、シンガポールと日本で押印のために郵便を一往復させるケースも少なくない。筆者が所持する生命保険会社は、こちらの住所変更の届けに際して「電子版処理は偽造防止の観点から…」と、紙の書類にこだわる理由を説明する。が、告白すると手書きサインを「代筆」したりハンコを流用(どうせ「佐藤」)したことは、必要に迫られてという前提があるとしてもゼロではない。画像処理で本物ソックリのハンコも作れる。電子署名の方がよほど偽造防止に役立つ。

(Hummingbird Advisories  佐藤 剛己)