オンラインに進むシンガポール、日本は目指せるか(追記あり)

シンガポールではこの4月から、原則全業種でテレワークの導入が義務付けられた。「実施が合理的に不可能でない限り」(unless it is not reasonably practicable to do so)というのが条件で、期間は4月2日ー4月30日。違反すると雇用者にSGD 10,000の罰金、半年の禁固のいずれか、または両方が科される(4月1日付「Infectious Diseases Act – Infectious Diseases (Workplace Measures to Prevent Spread of COVID-19) Regulation 2020」、No. 235、P4)。この原則に当てはまらないのは例えば製薬メーカー。欧州系に務める知人は「自分は自宅勤務を命じられているが、工場勤務の人は出勤している。タイム・キーピングできる分は羨ましい」と話す。このメーカーは肺炎系(Covid-19ではない)の薬を持っているので工場はフル稼働しても追いつかないという。

一方、公立学校もオンライン授業が始まっている。まだ試行段階のようで週1回、小学生(約20万人)は水曜日に4時間、中学生(約15万人)は木曜日に5時間、高校生など(約2万人)は金曜日に6時間。支援が必要な子どもに加え、自宅にWifiやPCがない、あるいは親が自宅勤務できない家庭も少ないながらいるため、こうした子どもたちは学校に来てもいい。

英語ベースのインター校はIT設備が整っているので、今はほぼ全校がオンライン授業を提供している。

ここで疑問は、日本でテレワークやオンライン授業がなかなか広がらない理由は何か、という点。日本からのニュースや知人親類の話を聞く限り、仕事も学校もオンラインはまだ限定的だ。OECDの「生徒の学習到達度調査」(PISA)2018年版を引いた教育社会学者、舞田敏彦氏によると、調査対象となった15歳の学生のうち、日本人のノートPC使用率は35%。調査対象33か国中最下位なのはもちろん、前回調査のPISA 2009年から下落(-13%)したのも日本だけ。トップはデンマークの94%。シンガポールの76%は流石としても、アルファベット文化ではない韓国は63%(2009年23%)、タイでも45%(同17%)である。ちなみにノート、デスクトップとも使用率について当時の文部科学省発表の資料は論じていない

インフラに課題があるとすれば、オンライン投資は今しかない。

(追記)リー・シェンロン首相は今日夕方のメッセージで、企業と並び学校も来週8日から4月一杯のオンライン授業を命じた。島内感染が続く中、マスクの使用も初めて推奨された。Covid-19の伝播状況によっては、5月までオンライン措置が続く可能性もあるとのこと。

(Hummingbird Advisories  佐藤 剛己)