シナル・マスのビジネスモデルに批判再び

インドネシア財閥のSinar Mas(シナル・マス)傘下のGolden Agri-Resources(GAR)が、国内で保護対象の森林を違法に使ってパームヤシの植林を行い、見返りに当局に贈賄していたとして、英米の人権保護団体が訴えている。英Forest Peoples Programmeと米Elk Hills Researchの2団体で、パームオイル製造に関わる業界団体が共同で設立したRoundtable for Sustainable Palm Oil(RSPO、日本語では「持続可能なパーム油のための円卓会議」)に対し、 事案調査を要求している。RSPOは、所属会社が持続可能なパームヤシの栽培に寄与していることを一定基準を元に認証する団体。違法操業などが認定されればGARはRSPO認証を失う。GARは反論の構えだが、RSPO自身もここ数年は批判の対象になってきただけに、紛争は大きくなる可能性がある。

今回の訴えで両団体は「高度な地理情報システムと衛星画像を駆使し」、GARの違法行為を暴いたと主張。さらに、シンガポールで上場する同社が2018年、傘下企業2社社員が贈賄行為でKPKに逮捕されたことを知りながら、RSPOは何らアクションを取らなかったと、認証団体そのものをも批判している。一方のRSPOは1年ほどで今回の調査を終えたいとするが、利害の異なるステークホルダーの存在を理由に早くも遅延可能性もほのめかしている。

GARは世界屈指のパームオイル製造会社。同社からパームオイルを購入する先として名指しされているのは、ケロッグ、ユニリバー、ネスレの3社。2018年のアニュアル・レポート(写真)によると同年の売上は71億6700万米ドル。国内消費(約11億米ドル)を除くとインド(約11億米ドル)、中国(約9億米ドル)、その他のアジア(約21億米ドル)、欧州(約10億米ドル)などとなっている。日本マーケット向けの販売額は、アニュアル・レポートに記載はない。

(Hummingbird Advisories  佐藤 剛己)