COVID-19との闘い(その1)

20201月の初めに崩壊学(コラプソロジー)の本を読みました(写真下)。

まだ、COVID-19は遠くに感じていた時期です。現在の世界は地域的にも、社会(政治・経済・文化)の面でも、密接に結び合い、グローバル化して一つのシステムとなっており、もしこの一画でも崩れると連鎖的に全体が壊れてしまうといった内容でした。いつの時代でも、この様な警鐘を鳴らす人はいたし危機的な状況もありましたが、現在でも世界は続いていると思ったことを覚えています。ただ、グローバル化が全世界に及び、それぞれの事象が分かちがたく一つのシステム化している傾向は人類初のことである、それは確かだなあといった印象でした。

現時点(2020年2月下旬)では、COVID-19が本邦でも猛威を振るいつつあり、他人ごとではなくなってきました。病気のことだけを考えると、COVID-19の致死率は1~2%なので、人類が経験した他の疫病に比べればはるかに扱いやすい病気で、ペスト等に比べるとこのウイルスのために社会が壊れることは無かったかもしれません。一方で、高度に情報が発達し何事も分けがたく結びついたグローバルな現代社会では、今回のCOVID-19禍により様々なことが連鎖して金融、経済、政治、文化が崩壊してしまうと、もっと多くの人命が亡くなる危険があると感じます。インフォデミックと言われるゆえんです。世界恐慌→戦争といった流れが最も危険な感じです。

これは最近読んだ本です(2020年2月中旬、写真左)。国家的危機に立ち向かった福島第一原発の当事者たちのドキュメントです。チェルノブイリの10倍の放射能が放出され、日本が北海道、汚染地域の東北・関東、それ以外の3分割される瀬戸際に、身の危険を顧みず踏ん張った東電の職員の皆さんの物語でした。培った技術をもとに絶望的な状況に立ち向かっていく姿は感動的でした。

既に本邦でも感染指定病院を中心に実際の患者さんの診療を通してCOVID-19との闘いが始まっています。COVID-19が感染早期から流行期に入った様で、医療従事者としてこれからが闘いの正念場となります。国家的な苦難に対する戦いはこれが初めてではないし、これが最後でもないでしょう。この本を良いタイミングで読んで、日本を作り支えてきた先人たちの志に恥じないように頑張らねばならないと感じました。

*本稿は私見であり、私が所属するいかなる組織の公式見解ではありません。

(櫻井 淳、日本大学医学部救急医学系救急集中治療医学分野 診療教授)