医療の危機管理

櫻井教授

近年、医療における危機管理の大切さがクローズアップされています。“注射薬を間違えて患者さんが亡くなってしまった”なんてとんでもないことは、実は当たり前に起こる可能性があるのです。そしてその様な事態にならないためにどの様な対策を立て、またその様な事態となった際にはどの様に対処するべきか?もちろん、一言では説明しきれないのですが、まずは大まかに分類してみます。

患者さんへのリスクを減らすことをリスクマネジメント(医療安全管理、セーフティーマネジメントともいう)といいます。間違った注射をしない様に教育、システムズ作りを行うことがこれに当たります。また、リスクが顕在化し実際に事故が発生した際の対応、回復まで含めた管理をクライシスマネジメントと呼びます。実際に失敗して患者さんが亡くなったらさあどうするという対応がこれにあたります。また、このクライシスマネジメントは、災害等による病院組織全体へ被害が及ぶ様な事態の事前、事後の対応も含みます。

医療事故はどんなに名医でも個人の力では防ぐことは困難です。こと、このことに限って言えば、“医者選びも寿命のうち”というよりも“病院選びも寿命のうち”です。

(櫻井 淳、日本大学医学部救急医学系救急集中治療医学分野 診療教授)