「遅々として進む」国営企業改革

10月26日付日本経済新聞は、「ベトナム国営企業、外資をテコに改革急ぐ」と題して、セブンイレブンなどに対抗してコンビニを始めたコープマートやシンガポール企業の出資を受けて高級粉ミルクを販売したビナミルクの取り組みを紹介した。日経新聞は9月16日付「ベトナム国営企業株放出、トーンダウンの裏側」で国営ビール大手サベコの民営化の遅れを批判したばかり。改革の進捗をどう評価すればよいのだろうか。

答えは「遅々として進んでいる」と「自国の利益になる限りで外資は利用する」だ。確かにベトナム政府は当初、サベコの国有株全てを放出するとしていたが、拒否権が持てる35%超の保有を続けることになった。9月16日付の日経記事は、この新たな政府方針を投資家が「売る売る詐欺」と見ていると報じた。

しかしベトナムでは政府による計画倒れは「あるある現象」だ。計画が額面通りに進むと期待するのはナイーブだ。スピード感ある民営化を阻むのは、日経が指摘する「抵抗勢力」の存在だけでなく「高値での売却」と出資後にコミットしてくれる「戦略投資家」への売却という矛盾しうる2つの条件が課されているからではないか。

ベトナムは良くも悪くも「外資にお任せ」の国でない。10月26日付日経では出光興産のガソリンスタンドが日本式接客で話題を呼んでおり、国営ガソリンスタンドの在り方にも影響が出る可能性を提起した。だがベトナム報道によれば、ガソリンスタンドは地方ごとに総数規制があり出光のような外資が店舗を増やすことは容易でない。
外資に適度な刺激を与えさせつつも重要な部分は渡さない。ベトナムを見る上で、この「したたかさ」は常に考慮に入れる必要がある。

(ベトナムウオッチャー 杜明英)