ベトナム格下げの背景

ベトナムの信用格付け(Moody’s)が18日、ついに「negative」(Ba3)に下げられた。10月に入りMoody’sが格下げ意向表明して以降、ベトナム政府は財務省を中心に反論を展開。直接交渉に入っていた。Moody’sはその理由として、「政府の間接債務(註、政府の対国営企業に対する債務保証を指すとみられる)の返済遅延のリスクを反映した」と説明する。

格下げのきっかけになったのは、今年8月ごろに政府がGDP統計方法を変更したことにあると言われる。いわゆる地下経済などを新規算入することでGDPを嵩上げするもの。GDPに実態経済が反映されるとして歓迎の声がある一方、「公的債務上限であるGDPの65%ラインが、金額としては上方へ押し上げられることになり、借入余地が生まれる。政府が借金がぎりぎりまで膨れ上がったことを認めたのと同じ」(ベトナムウォッチャー杜明英氏)との見解もある。

Moody’sは2018年までベトナムの格付けを徐々に引き上げ、2018年10月にはBa3(stable)とほぼ10年前の水準にまで戻していた。米中貿易戦争の間で経済外交的には利を得てきたとされるベトナムだが、今回の格下げで、日系企業にも動揺が出ることが予想される。

(Hummingbird Advisories  佐藤 剛己)