カンボジア反政府派を巡る急展開

カンボジアの旧最大野党であるカンボジア救国党(CNRP)を巡る動きが慌ただしい。フランスに亡命している同党指導者サム・レンシー氏が帰国の動きを具体化していることに端を発しているが、これに猛反発するカンボジアのフン・セン首相は、入国直後の拘束を公言してきた。しかしここにきて同政府が、国内に自宅軟禁してきたCNRPのケム・ソカ氏を、条件付きで軟禁解除したのだ。11月10日の日系紙報道によれば「(経済制裁を検討する)EUの動きを回避する狙いがありそう」とする。確かに、カンボジアにとって自国縫製業の一大マーケットであるEUの経済制裁は致命的で、これまでの専門家の指摘通りではあるが、同記事中にその根拠は記載されない。

一方のサム・レンシー氏はこれに先立つ11月7日、タイに向けてフランスを発つ予定だったが、「航空会社スタッフが最上部からサム・レンシー氏を乗せないとの通達を受けた」との理由で飛行機に乗れず、タイ行きを断念。ところが、9日にはマレーシアに入国を成功させた。

マレーシア入国には伏線がある。さらに2日前の11月5日に、カンボジアの反政府運動家3人(1人は政治亡命希望者、また1人はサム・レンシーの補佐役Mu Sochua氏)がタイへ向かう途中の経由地、マレーシア空港で当局に拘束されたものの、当局の判断でカンボジアへの強制送還はされず、マレーシアに留まることに成功したのだ。ジャーナリストによるTwitterなどの書き込みによると、この後3人はサム・レンシー氏と合流した模様だ。

こうした動きにカンボジア政府はかねてから、反政府運動家は「招かれざる人物」であり、東南アジア諸国に転覆罪などの罪で逮捕するよう要請。すでに関連したカンボジア人拘束はベトナム、タイで発生していたが、マレーシアが反旗を翻したことになった。

この渦中の11月8日、実は駐カンボジア米国大使が米メディアのインタビューに答え、「東南アジア諸国には国際法下での義務を遵守し、帰国後に迫害や拷問などが予想される場合は入国者を送還させないことを求める。カンボジアの状況を非常に憂いている」と、強い調子で訴えている。どうやら米国が動いている様子である。(写真は本文とは無関係です。)

(Hummingbird Advisories  佐藤 剛己)