タイの「格差」社会

タイの中央銀行Bank of Thailandが、「タイ会社資産の36%は、人口上位500人が握っている」というリサーチを発表した。500人で1人あたりの企業利益を割ると年31億バーツに上る。一般家計年収33万バーツとの差を引き合いに、タイでの社会格差が広がっている、と各メディアは指摘する。500人のほとんどは財閥と呼ばれる企業群の経営者一族を指すだろう。

タイ財閥の平均的成長は以下のようなものだ。

初代(3代前)は、中国・潮州から渡った華人。自転車での古鉄行商や酒の密売で財を成し、社業と並行して土地を買い込み不動産業に乗り出し、傍で2代目を米国に留学させる。2代目は戻ってきて不動産開発を続ける一方、一部は会社を上場させて時価総額を大きくする。

2016年2月に相続税と贈与税が導入され、資産の世代間移転が多少は進むが、相続税は1億バーツ以上(約330万米ドル)分に10%、贈与税は2000万バーツ以上分に5%(直系の場合)と緩い。このため、多くの財閥(今だいたい2代目から3代目)はここ数年、自分の会社資産とともに、経営実権を直系の3代目に移しつつある。一方でこの3代目は経営経験に乏しく、「親の手伝い」に入る前の、酒、女(男)、車、宝飾あさりなどの無茶苦茶ぶりは目(耳)を覆うものも多い。それがいきなり、年31億バーツの利益をマネジメントするのである。

「格差是正」というと、言葉の空虚な響きだけが気になる。

(Hummingbird Advisories  佐藤 剛己)