有害ヘイズと、成長を志向するビジネスと

焼畑による植栽が強く非難されているパーム油生産から出るヘイズ。今年は6年ぶりに、とにかく酷い(写真は2013年6月21日、Raffles Place界隈)。

パーム油はマレーシア、インドネシア、タイが世界的な生産地だが、乾季に入る今の時期、焼畑に加えて山火事で煙が増加し、二酸化硫黄、二酸化窒素など有害物質を含んだ「ヘイズ」は赤道からの北風に乗り、特にインドネシアのそれが東南アジア各国を苦しめている。環境団体などのプレッシャーを受ける大手業界も無策ではないが、目に見えた改善はなかなか出てこない。

そんな中、世界最大のパーム油商社のWilmar International(シンガポール)や消費財メーカーのUnilever(英・蘭)、食品飲料のMondelez(米)などが、焼畑などを行う脱法中小業者をサプライチェーンから排除することを目指し、パーム油業界のマッピングやモニタリングの共同事業を始めた

2018年末に始まった事業で、グリーンピースも当初はこれを歓迎、事業支援を表明していた。ところが、当初期待した約束と行動が3社から得られなかったとして、グリーンピースは今年8月、支援撤回を決めた。3社とも共同事業の継続を表明している。

環境だけでなく、SDGsやESG投資の掛け声は大きくなるばかりだが、そうした社会公正を訴える立場と成長を志向するビジネスとは、まだまだ「同床異夢」なのが実態だ。グレタ・トゥーンベリさんの主張(その後、世界の主要紙は彼女の主張を支持)に、口汚い批判が出てくることを見るだけで、環境とビジネスの融和が難しいことが分かる。一方で、東南アジア諸国連合(ASEAN)もついに、気候変動への危機感を表明。やはり何らかの手を打つタイミングに来ている。その起点は、企業、しかも大企業だと思う。

(Hummingbird Advisories  佐藤 剛己)