贈賄防止、掛け声で終わらない工夫を

海外進出企業のための贈賄防止策を議論、提言している「海外贈賄防止委員会」(通称ABCJ(https://www.antibriberyjapan.org))が9月19日、ABCJメンバー10人以上、参加者約100人を集めて東京・田町で第2回年次フォーラムを開催した(グローバル・コンパクト・ネットワーク・ジャパンとの共催)。経済協力開発機構(OECD)の贈賄作業部会が今年、対日審査を実施、そこにABCJが参加した際の議論や知見をベースに、フォーラムでは企業が司法取引を受け入れるに当たってのガイドライン(草案)を発表。また、8月に実現したタイの国家汚職行為防止委員会NACC・PACCとの協議面談の成果などを披露した。

ABCJは2016年9月の設立。ベトナムへのODA事業で現地政府関係者に贈賄したとして、東京地検に訴追され有罪判決が出た日本交通技術事件(2014年)で第三者委員会を務めた弁護士が主体になっている。このため実務家弁護士が多いこと、また企業からの登壇者も多かったことから、パネルディスカッションでは法律論がほとんどなく、企業内部統制の観点から「現地で端緒を掴んだら、自分で責任を負わずに上に投げる」「本社が現地駐在ともっと気脈を通じるべき」「Eラーニングは本当に効果的か」など、実務的現実的な議論が多く展開された。企業(本社)側から「『お前(O)こっちへ来て(K)やってみろ(Y)』と言われるから行ってみたけど、何を話したらいいか分からなかった」という悩みも語られた。

また「(海外に)行った先での官僚からの贈賄要求は個別攻撃。暴力団追放宣言をして暴排協に参加しても、個別にやられたら応じてしまいがち」との指摘から、個別の知識や経験を連携企業と共有する仕組み作りが求められる、との認識も提示された。

2018年初頭から参加する筆者はフォーラムで、①米国司法省のセトルメント件数はトランプ政権以降急減、スタッフの補充も少ない、②インドネシアKPKが急速に弱体化していることと軌を一にして東南アジア各国も反贈賄の点では後退傾向にある、などを実例と合わせて紹介。各企業の知見、経験を共有し、それをアクションにつなげられる仕組みの必要性を提示させていただいた(写真、税理士米澤勝氏撮影)。

(Hummingbird Advisories  佐藤 剛己)