欧州発インドネシア行き資金と金融立国シンガポール

英国スタンダード・チャータード銀行が2015年後半、イギリス海峡チャネル諸島の国ガーンジーから、主にインドネシア顧客保有の金融資産14億米ドル分をシンガポールの同行口座に移管したことが、欧米メディアに報道され始めた(ブルームバーグ、2017年10月5日など)。問題は、移管時期が租税情報交換の国際枠組み(Common Reporting Standard)にガーンジーが加入する数か月前だったことから、顧客の租税回避に同銀行が手を貸した疑いが持たれている。

初報のブルームバーグによると、顧客の一部はインドネシア軍と関係がある複数だとされ、現在はガーンジー、シンガポールに加え、シンガポールと租税情報の交換協定があるインドネシア税務当局も捜査に入った。同国当局は今のところ、対象口座は81顧客のもので、うち62口座はインドネシアが先に実施した租税アムネスティにかかる資産帰還によるものと説明。政府役人に連なる口座はないとしている。

シンガポール金融当局はこれをどう捌くのだろう。金融立国であるシンガポールは、同時に資金洗浄、隠匿の場としても認知されきた。かといって「小国が周りの大国に勝つためには金を集積するしかない」(某シンガポール大手企業役員)ことが信条の国だけに、資金の出入りを絞り過ぎるのも国の存亡に関わりそうだ。

 (Hummingbird Advisories 佐藤 剛己)